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【No.187】 2007.12.08 / 07:40 | 創作物

■ 作品消化祭:二日目

※ラインナップ、詳細はこちら

#ごめんなさいまた爆睡してた('A`)
時間帯変えますかな……。


◆<彼>と<彼女>の物語(2/3)←すみません誤字ってました
ジャンル…MapleStory/無印
形式…文章(小説に非ず)
補足…めいぽ文化祭の副産物。ネタバレ含。

 ――彼女の契約を結ぶ迄


続き

たとえそれらに認められても
たとえ契約を結んでも
彼にはまだ力が足りない。

彼は彼女と旅を続け
そして度々人々を護った。

その旅の中で彼と彼女は
何時しか惹かれ合い
互いに愛し合うようになっていった。


けれど
紅葉の力は彼には強すぎて。

数年前に受けたバルログの邪気と
強すぎる紅葉の力が
少しづつ、少しづつ
彼の体を蝕んでいった。

始めは、身体能力の低下。
単なる疲れであろう、と自他を偽った。

次に、吐血。
心配はかけまい、と彼は黙り込んだ。

そして、感覚器官の麻痺。
もう嘘を貫く事は、出来なかった。


霞のかかった世界の向こうで
彼女は彼に泣き縋った。
そんな彼女の頭を撫で
彼は言った。

「結婚、しよう」

嗚呼、思えば浅はかな考えであった。
まだ先の長い妖精である彼女を
死にゆく人間に縛り付けるなんて。

けれど、彼女は
そんな愚かな彼に
涙を流しながら笑みを返した。


「新郎、髪がイエティのように白くなっても、新婦を愛することを誓うか」
――君の髪が白くなるまで
私は生きることは出来ないけれど。

「新婦、エルナス山の万年雪が全て解け、ニハル砂漠のようになるまで新郎を愛することを誓うか」
――貴方の髪が無くなるまで
貴方の命は続かないかもしれないけれど。

それでも、私達は誓います。
たとえ生と死に魂を引き裂かれても
互いに相手を愛し続けることを――。


互いに交換するのは
1カラットの簡素な指輪。
けれど、その指輪は
誰の物よりも輝いていて。

そして二人は、誓いのキスをした。
その時彼女は、彼には秘密で
もう一つの契約を交わした。

嗚呼、思えばこれは身勝手な考え。
死後の安らぎさえ奪い去って
自らの傍へと縛り付けておくなんて。

けれど、彼は
そんな愚かな彼女に
柔らかな笑みを返した。

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