何となく文章打ちたい衝動に駆られたので打ってから寝ます。
現実逃避万歳。でもちょっと前回より短め
ていうか久々に文章打ったらその文章力の無さに絶望したんですよ俺はorz
◆002:手
ある、風の冷たい夕方のこと。
風に晒され、地に足を付け、ぼんやりと空を見上げて。生きている実感を求めて口を開いたのもつかの間、声にならない声を発し、私は口を再び閉ざしました。
高度な文明さえも自然には勝てない。風はそう言いたげに、一層強く私の足下に吹いてきました。
思わず、私は右手で左手を掴みました。そうしないと、がら空きの手は何か得体の知れないものに掴まれる気がして。
不安を抑えるように左手を掴む右手は、まるで自分の手では無いかのように暖かい感触を抱いていました。その感触が何だか心地よくて……私は思わず目を閉じ安堵しました。
でも、それは同時に恐怖を拒絶しているということ。それに気付いた私は、目を開くと同時に溜息をつきました。空へと向けていた視線を地へ落とし、そして握られた左手を見つめました。
離すのは怖い。けれど、離さないわけにもいかない。
震える手を離すのに、そう時間はかかりませんでした。触れ合っていた肌が外気に晒され、急激に冷やされてゆく。それは私の心の中とリンクしていて、私は再び溜息をつきました。
いつか、この両手のように、<白>や<青>、<灰>と決別しなければいけない。けれど、今の私にはそれを認めるだけの強さは無く、その決まりきった結末にただただ不安は増すばかりでした。
『俺達は消える訳じゃない。解ってるだろう?』
<白>の言葉が聞こえたのはその時でした。私は思わず右手を差し出すかのように軽く持ち上げ、虚空を掴むその手を見つめました。
――そうだ、<白>の言う通りだ。
行き場の無い手を空に掲げ、それと同時に再び空を見ました。日は傾き、朱い輝きが溢れんばかりに広がっていました。
左手では力を込めて握り拳を作り、右手は開いた手を太陽に向けて。何だかそのポーズを取っていると、勇気が湧いてくる気がして。
「……よし、頑張ろう」
目一杯右手を掲げると、それを下ろし、私はやっと歩き始めました。