Rings
(紅白楓合戦出場作品)
※サイト経由で閲覧される方への注意
「Rings」は、現在サイトで展開している世界観(通称「無印」)とは別の世界観で展開しています。
よりゲームに近い世界観で展開している為、発言内の「w」や「;」などは仕様となっております。
他にも、時刻の経過による昼夜の差が無いなどの相違点がありますのでご了承の上でお読み下さい。
彼女のことを例えるなら……そうだな、<母>かな。<冒険者>という人種である俺達には、親と呼べる存在はいないけれど、けれど彼女は俺にとってのそれで――。
それは、俺が1st(初生まれ)の頃の話。
「あー、どうすっかなぁ・・・」
エリニアの道端に腰掛けて、俺は深いため息をつき、遠く空を見つめた。
木々の合間を縫うように降り注ぐ陽の光が、鬱陶しくて仕方がなかった。
駆け出し魔法使いである俺達マジシャンが、駆け出しの身から脱する為の転職試験。その試験内容は、エリニアの何処かに居る転職官の出す<試験>に合格し、<英雄の証>を受け取ってくるという、単純なもの。その<試験>というのも先輩から聞いた限り、俺にとっては簡単とも言える内容であった。いや、簡単だと思っていた。まさかその転職官が見つからないなどとは、夢にも思っていなかったのだから。
歩き続けて早半日。エリニアはめぼしい物があまり無いからか、他の三街に比べれば人が少ない。しかも、オシリア大陸への港目的に訪れる冒険者達は、俺達一次職の者には声をかけがたいオーラを纏っていて……人に聞く、という選択肢は自然に消え失せてしまった。
今日は、諦めるしかないか……。
再びため息を付きながら下を眺めると、ああ救世主と言うべきか、俺の宙ぶらりん足下を、誰かが歩いているのが辛うじて見えた。黒い長髪からして女性だろうか、高レベル特有のあの近づきがたいオーラは微塵も感じられなかった。最も、距離が離れていたからか、それとも本当にこの人がそんなオーラなど放っていないのか、それは俺には解らないが。
――この人に聞いて駄目なら今日は諦めよう。
そう思い、俺は勇気を出して声をかけた。
「すみませんー!」
「何ー?」
その人は大声でそう言って、こちらに顔を向けた。声からして、やはり女性のようであった。
「二次転職官ってどこにいますか?」
「……あー、あいつか。あいつややこしい所に居るよねーw」
そう言った刹那、女は俺の視界から姿を消した。そして不意に俺の左側から声が聞こえた。
「急いでるわけでもないし案内してあげよっか?w」
ほんの一瞬の間に女は俺の左隣に移動していた。あまりに突然すぎて、俺は思わず目を見開いてしまった。
「ん、テレポ見るのは初めて?」
「テレポ・・・?」
女はくすりと笑って言った。
「あー、君、駆け出し君かーw テレポって言うのは魔法使いの二次職のスキルだよ」
そう言って、女は俺の姿をまじまじと見て。
「……君、見たところ魔法使いだよね?君も転職すれば使えるようになるわ」
やっと、俺も女の姿をまともに見た。金色の耳輪が象徴的で、白い帽子に黒い服、ドクロのついた大きなスタッフ。そして、俺とは比べ物にならない程の強大な魔力。彼女は魔法使い、つまり僕の先輩にあたる存在だったという訳だ。
「じゃあ――」
あっ、と小さく呟いて、女は言葉を止めた。
「……君、回復薬はしっかり持ってる?」
「・・・え?」
弱いモンスターを倒してドロップするアイテム集め、それを転職官に渡す――そう聞いていたのだが、もしかして相違点でもあるのだろうか。
黙り込む俺に、女は言葉を投げた。
「んー、誰かに試験内容聞いた?」
「あ、あぁ・・・一応、カニングシティにいた人達から・・・」
女の口からこぼれたのは、ため息一つ。
「あー、あの辺の奴らは転生経験ある奴ばっかだから、あんまり言うこと鵜呑みしちゃ駄目よ?転生経験の有無って、レベルの低い内はびっくりするぐらい影響しちゃうから」
「転生・・・?」
聞き慣れない単語が耳に飛び込んできて、思わず俺は聞き返した。
「転生については……面倒だからそのうち誰かにでも聞いて頂戴。……とりあえず、君は回復薬は一杯必要だろうから、道具屋にでも寄っていこっか。話は歩きながらでも出来るし」
笑顔と共に差し伸べられた手はごく自然で、だから俺も、自然に彼女の手を握って立ち上がった。
「冷たい・・・ですね、あなたの手」
「そりゃ、私は氷雷メイジだからねw」
「なるほど・・・って!」
納得しかけて、俺は重大な事に気が付いた。
「もしかして三次職っ?」
「……?ええ、そうだけどそれがどうしたの?」
「い、いえ、三次職の方となんて初めてお話しましたからっ」
「レベルなんて飾りよ。むしろ私なんて生まれてから随分立つのにまだLv80代なんだもの。寧ろ低い位よ」
「いやいや、それは・・・」
「ま、とりあえず時間がもったいないから道具屋に行きましょっかw」
女は小さくため息をつき、続けて言った。
「……その前に」
「・・・?」
「手、離してくれる?」
「えっ、あ、あっ・・・すみませんっ!」
慌てて彼女の手を離した。心なしか、顔が熱い。
その様子を見て、女は笑った。
「若いわねぇw」
「うっ・・・」
上手く言い返せないのが悔しくて、それで無理矢理話題を変えた。
「ええっと、そういえば、お名前なんと言うんですか?」
一瞬間をおいて、彼女は答えた。
「……クリシア。君の名前は?」
「俺は、×××」
今はもう捨てたその名を、俺は彼女――クリシアに名乗った。
アイテムを買って、エリニアの街から出発して。俺はクリシアと色々な事を話した。正確には、彼女が色々と話題を振って来たのだが。結局、回復薬はクリシアに奢ってもらった。期待の星への投資、と彼女は笑ったけれど、俺は申し訳なくて仕方がなかった。
転職官の所に着いたのは、エリニアを出て一時間程経った頃だった。
クリシアが、天を見上げて言った。
「さぁ、あいつが転職官よ」
クリシアの指さす先を見てみると、成る程、木の枝の絡み合った不自然なスペースに、一人の魔法使いが立っている。
俺は転職官から目を離し、クリシアに感謝の言葉を言おうとした。
「本当にありがとうございまし――」
「んじゃあ待ってるから頑張ってねw」
「・・・え?」
彼女の口から飛び出した言葉が意外すぎて、俺は思わず聞き返した。
「だーかーら、待っててあげるって言ってるんだってば」
「でも・・・」
「口答え無用!さっさと行って来なさいっw」
そう言って、彼女は僕の背中を強く押した、というよりも叩いたと言う方が近いだろうか。危うく地に落ちかけたものの何とかバランスをとり、俺は目の前に垂れ下がる蔓を登り始めた。
蔓を三分の二程登った辺りだろうか。
「……ん?」
俺の姿を認めた転職官に、俺は蔓にぶら下がったまま挨拶した。
「すみませんー、二次転職受けに来たんですが・・・あなたが転職官で間違いないですか?」
「ああ、俺が転職官さ。説明してやるからさっさと登ってきな」
「は、はいっ」
エリニアの木々は高い。よって、絡み合った木々の枝を道とするエリニアの街とその周辺は上下に長い。段々と、息が切れてくる。
「そんな程度でヒーヒー言ってちゃ、試験をパスする事なんて出来ないぜ?」
転職官がそんな言葉を投げかけてくる。やはり、想像以上に大変なのだろうか……。
俺はただひたすらに蔓を登り、そして登り切った。
ゼェゼェと息を切らしてる横で転職官は呆れたように言った。
「ったく、幾ら魔法使いだからってこの程度の体力すら無いんじゃ、冒険なんて無理だぞ?」
「うっ・・・」
反論できないのが悔しくて、俺は息を整え黙り込んだ。
「ま、説教は置いといて、転職試験の説明だな。早い話、これからお前を試験場に送るから、そこに居る敵を倒して<黒い玉>ってのを三十個集める。異次元には別の転職官が居るから、そいつに黒い玉を渡せば英雄の証がもらえるはずだ。それ持ってハインズ様の所へ行けば無事転職完了」
「その敵ってのは?」
「ツノキノコとカズアイさ」
えっ、と思わず俺は漏らした。カズアイには、奥地に迷い込んだ時に酷い目に遭わされた事が何度もあった。俺の背を、何かが冷たい物が這うような感覚が襲った。
そんな俺を見て、転職官が付け加えるように言った。
「普通のカズアイなんて、一匹倒すだけでもそのレベルじゃ苦労するだろうが、試験用の特別仕様だから心配は不要だ」
「ならよかった・・・」
「あ、でもな」
転職官はにたーっと嫌な笑みを浮かべ、言い放った。
「墓落とせば当然デスペナはあるから気をつけるんだな」
「え、マジすかっ・・・」
「転職官が嘘言ってどうするんだよ」
「う、まぁ、そりゃ確かに・・・」
「……とまぁ、説明はそんなところか。今すぐ試験を受けるか?」
俺はちらっとクリシアの居るであろう方を見、言った。
「お願いします」
「オッケー」
転職官が俺に杖を向ける。その瞬間、俺の意識はまるで溶けるように遠くなった。
地のない穴へとゆっくりと落ちていくような僅かな感覚、その感覚から解き放たれた時、俺は見知らぬ場所へと立っていた。エリニアに点在する木のダンジョンのような、でもちょっと違う、そんな空間に。
背に殺気を感じて振り向くと、そこには無数のツノキノコやカズアイ達。ちょっとでも油断するとすぐにでも墓を落としてしまいそうな数だ。
――全然簡単じゃねーじゃねぇか!
今更、心の中でカニングシティの人々に悪態を付いても遅い。クリシアに会っていなければ、どうなっていた事やら。考えただけでもぞっとする。
ミスリルワンドを握りしめ、呪文と共に振り上げた。
「マジッククロー!」
続けざまにマジッククローを一番近くにいるツノキノコへとぶつける。明らかに普通のツノキノコよりも耐久力が高い。
切り裂かれたツノキノコから、黒い玉が飛び出す。それを拾いに行く間も無く、俺は呟いた。
「ツノキノコも特別仕様かよっ」
ツノキノコの居た場所へと走り、黒い玉を拾った直後、俺は気付いてしまった。いつの間にか、モンスター達に囲まれてしまっていた事に。
「しまっ・・・!」
背にモンスターの突進を喰らい、俺は不覚にも倒れた。立たなくちゃ、早く立たないと更に攻撃を受けてしまう……!
「本当は使いたくはなかったけども・・・マジックガード!」
ワンドが輝き、俺の身体に光の粉が降り注いだ。直後にカズアイが体当たりを仕掛けてきたが、俺はそれを何とか振り払い、目の前にぶら下がっていた蔓を登った。
カズアイのジャンプさえも届かない場所へと着いた時、俺はほっと息一つ吐き、ポケットを漁った。
出てきたのは、オレンジ色の飲み薬。試験が始まったら飲みなさい、とクリシアがくれたものだった。
それを流し込むように飲み、再びマジックガードをかけ直し、俺は蔦から飛び降りた。一瞬退いたモンスター達だが、再び俺に殺気を浴びせてくる。
右手にはワンドを、左手にはいくつかのマナエリクサーを握りしめ、俺は再びマジッククローを連発した。体当たりを仕掛けられても、クリシアの薬の効果か、ある程度見切る事が出来た。
――決して、墓にはなるものか。
ワンドを振り続けた俺を正気に戻したのは、転職官の声だった。
「もう流石に三十個溜まったんじゃないか……?」
その控えめな声でハッとした俺は、慌てて彼の居る足場へと登り、黒い玉の数を数えた。
「・・・28、29、30」
「しっかり三十個あるな。合格だろう。……ほら、これが勇者の証だ」
そう言って渡された勇者の証は何だか安っぽくて、俺の頑張りに見合わない気がして仕方がなかった。だが、証はあくまで転職するためのチケット。安っぽくても問題は無いのだろう。
「さて、これから君を元の場所に戻すよ」
「はい」
再び遠のく意識と何とも言えない感覚。意識が正常に戻ったときに目の前に居たのは、転職官ではなくクリシアだった。
「遅いっ。全くもう、墓にでもなったかと心配したんだから」
「う・・・すみません・・・」
「まぁ、斬り賊程では無いとしても、魔法使いの転職試験は辛いからね。ダメージが辛くて」
俺は黙ってうんうんと頷いた。シーフの二次転職試験がどのような物なのかは、知らなかったのだけども。
「……さ、ハインズ様の所へ行きましょっか」
クリシアは再び笑った。長い黒髪が揺れる。
「はいっ」
先ほどの試験の疲れも、クリシアが今日初めて遭った人間だということも、そんな事は全て忘れて、俺は元気に返事を返した。
「ハインズ様ー、ただいまですー」
そう言って勢いよく魔法図書館へ入ったのは、クリシア。
「×××、ただいま戻りました」
クリシアの影に隠れながら、俺は控えめにそう言った。
「おおクリシアよ、よく戻ってきた。……×××も一緒かな?」
「あ、はい」
「ハインズ様〜、少々お話が……」
彼女の口元こそ笑ってはいるものの、その赤い瞳は全く笑ってはいなかった。その瞳があまりにも真剣な色を帯びていて、俺は口を開くことが出来なくなった。
そんな俺を見かねてか、ハインズ様が優しく言葉を紡いで下さった。
「ああ、解った。でも、先に×××の二次転職を済ませよう。君の話に彼を同席させる訳にはいかないだろう?」
「あ、はい。それもそうですね」
クリシアの目が、元の表情に戻った。
「では×××、魔法使いの二次職は全部で三つある。ご存じかな?」
「はい。ウィザードが二つ、それとクレリックですよね?」
「左様。ならば説明は不要だね」
予めクリシアに聞いておいてよかった。何せ、ハインズ様の話は長い。いや、正確には長いと言うよりも長く感じる。それは、一次転職の時点で嫌と言うほど味わっていた。
「どの職に転職するかは決まっているかな?」
「えっと・・・」
その問いに俺は呻くような小さく声を漏らし、黙り込んだ。
そんな俺を見て笑ったのは、クリシアだった。
「まぁ、1stにはありがちな事ねw ……ハインズ様、先に私の話を済ませておきましょう」
「あ、是非そうして下さい。話が終わる頃には結論を出しておきますので」
「……二人がよければそれで構わないが。とりあえず、クリシアは奥の部屋へ来てもらえるかな」
「はーい。×××君、終わるまでには決めておいてねw」
そう言って二人は図書館の奥へと消えていった。それを見届けるとため息一つ、俺は階段へと腰を下ろした。
決まっていない訳ではなかった。俺にここまで世話を焼いてくれる人なんて希で、そしてここまで親しく話しかけてくれる人は初めてで。そして、彼女の後ろに隠れながら見た初めて見た技の数々。そう、俺は彼女のような魔法使いになりたかった。
ただ、それを言うのは少し恥ずかしくて、そして癪で。だから、つい尻込みしてしまったのだ。
再びため息をつき、二人の消えた方向へ耳を傾ける。しかし向こうは静寂そのもので――当然だ、聞こえるような場所で話すのならここで話しても大差はないだろうから。
不意に、その部屋の方向から足音が聞こえた。その足音を聞いて、俺は決心した。
「・・・よしっ」
自分に気合いを入れるように立ち上がったと同時に。ハインズ様とクリシアが、奥の部屋から姿を現した。
「お、その様子だと決まったようだねw」
「ああ」
「ほう……では、どの職に転職するかな?」
ハインズ様の促しに一息置いて。
「氷雷ウィザードです」
「おお、私に見惚れたなw」
間髪入れずに、クリシアが言った。
「……見惚れたのは君にでは無く君の技では」
ハインズ様の小さな突っ込みに対して、あえて無視したのか気付かないのか、彼女は反論しなかった。
「まぁとにかく、氷雷ウィザードだね。……では、これから君に力を授けるから、心を落ち着かせなさい」
「はい」
俺は瞳を閉じ、無心になるよう心かげた。その直後に俺を襲ったのは魔力の波動。一次転職の時よりも数倍強いそれに押し倒されそうになりながらも、俺は何とか立ち続けた。 やがて、波動の襲撃が収まり、ハインズ様の声が聞こえた。
「ふぅ……おめでとう、今日から君はウィザードだ」
ゆっくりと目を開けると、そこには笑顔のハインズ様とクリシアが居た。
「は、はぁ・・・ありがとうございます」
実感が無いのと、波動の衝撃が堪えたのと。だから、俺にはそんな言葉を発する事しかできなかった。
「まぁ、まだマジシャンに毛が生えた程度だけども、その内段々と実感できるようになるよ。……それよりスキル振ろうよスキルw」
クリシアに促され、俺はガラムの内ポケットからスキルブックを取り出した。スキルブックを開くと、見覚えのないページが数ページ。おそらく、これがウィザードなのだろう。
「お勧めはドレインかテレポかなー」
そう言われて、俺はマジックドレインの説明に目を向ける。その説明は簡潔ながらも、それが攻撃スキルではなく補助のスキルであることをはっきりと示していた。テレポも一応説明を読んでみたが、同様だった。
「えー、早く攻撃技使ってみたいのに」
つい、不満の言葉が口から飛び出す。
「馬鹿ねぇw 1位振っても役になんか立たないって」
「うっ・・・」
確かに二次職のスキルとは言え、レベル1の攻撃スキルなど、今使っているレベル20の攻撃スキルとは比べ物にならない程役立たずだろう。悲しいが、それは俺にも容易に想像する事が出来た。
「ドレインって地味だけど結構便利よ、1でも十分役にたつし。テレポも1でも役立つけど乱用するとすぐにMPがなくなっちゃうからなぁ。……君みたいな1stには、やっぱりドレインかな、氷雷魔は他の二職と比べてMP消費が凄いし」
先輩である彼女の言葉には、俺を納得させるだけの説得力があった。
「うーん、あなたがそう言うなら、マジックドレインにしようかな」
俺は深呼吸をし、目を閉じてスキルブックに向かって念を送った。そして、目を開くと、マジックドレインの欄に「1」という数字が記されていた。
「ドレインはパッシブだから狩りにでも行けばすぐ実感できるわw」
「パッシブ・・・?」
「常に発動しているスキルって事よ。……それより×××君、君はいつも野宿?」
「え?そりゃまぁ、俺も冒険者だし・・・」
<冒険者>は家を持たない。何故そんな当然の事を聞くのか、不思議で仕方がなかった。
そんな俺の心の内を知ってか知らずか、クリシアが言った。
「……よし、じゃあ君、今日から私の家に住みなさい」
「・・・は?」
親指一本立ててそう言うクリシアに、間抜けな声で応える俺。
「・・・え、いやそんな何でいきなり。っていうか――」
それもそうだ、一日泊めるだけならまだしも何故見知らぬ人間を家に招待したりなんか。
いや、そもそもそれ以前に――。
「何?文句でもあるの?」
「いや、そういう訳じゃないですけども・・・」
「んじゃあ決定ねw ……付いてきて、案内するわ」
そういって俺の手を引き歩き出すクリシア。もうどうにでもなれ、と半ば投げやりに、俺は彼女に従った。心の中の疑問を、奥深くへと押し込んで。
挨拶もせず魔法図書館を出ていく俺達の背後で、ハインズ様が何かを呟いたのが聞こえた気がした。
歩くこと一時間。彼女に連れられた先はエリニアの奥地、邪気の森だった。
こんな森の奥深くまで来るのは始めてで、そして周りには俺には到底手に負えないモンスターばかりで、ただ俺はクリシアに付いていく事しか出来なかった。
「・・・あの」
「……ん?」
「こんな奥地に家があっても、俺一人だと出入り出来ないんですけど・・・」
「マジックガードかけてダッシュすれば問題なしw」
「いや、問題あるって!」
無茶な事をさらりと言うクリシアに、思わず俺は大声で突っ込みを入れた。
「ま、でも野宿よりはいいでしょ、賊やモンスターに襲われたりしないからw」
「そりゃ・・・そうだけどさ・・・」
どうも、この女には口では勝てそうにない。会話を重ねるたびにそう感じてしまう。最初の疑問点を明らかにするのも、いつの間にか諦めてしまっていた。
黙り込む俺を見て、クリシアは言った。
「もうっ、拗ねないの。……それより着いたよ。あそこが私の家」
彼女が指さす先を見ると、大きな木に樹皮と同化するように扉が一つ。そこに扉があると言われなければ、普通の人間は違和感さえ持たないだろう。
扉は自らに近づいてくる彼女の魔力と共鳴し、音も立てずにその口を開いた。
「後で君の魔力にも反応するように弄ってもらっておくからねw」
扉の内側は、言わば二階建て仕様だった。こぢんまりとはしていたけれど綺麗に掃除されていて、そして何よりマナが溢れ返っていた。近くのソファにぼふりと座ったクリシアに、俺は問いを発した。
「弄ってもらって・・・って、一体誰に?」
「ハインズ様」
さらりとその名を口にするクリシア。
「へぇ・・・って、えぇっ!?」
脳内に浮かぶ更なる疑問を口にする前に、彼女は言葉を発した。
「言っておくけどチートの類じゃないからね!」
「チート・・・?」
「……あぁ、君1stだったっけ。説明すると長くなるから、まぁそこに座りなさいな」
そう言って彼女は向かい側のソファを指す。確かに入り口に立ったままじゃ話を聞くのも辛い。それに、扉が開きっぱなしでは擬態の意味も自動ロックの意味もない。俺は言われた通りにソファに座った。
咳払い一つして、クリシアは説明を始めた。
「チートって言うのは、禁忌の術とも言えるものでね。まぁ、解りやすく言えば、どんな凄い人でも出来ないような事をやってのける術って言えばいいのかな」
「例えば?」
「空を飛んだり、それこそ目に見えないようなもの凄い早い速度で走ったり、敵を一ヶ所に無理矢理集めて狩りやすくしたり、かな。メジャーなのは」
「へぇ。でも何でそれが禁忌なんですか?」
クリシアは天井を見上げ、一息ついて言った。
「世界の<理>に反するからよ」
「<理>・・・?」
「そ。神と呼べる存在が居るのは知ってるわよね?」
「まぁ、一応それは・・・」
「その神の意図せぬ行動を行うから禁忌なの」
「じゃあさ、そのチートを使うとどうなるんです?」
純粋に、俺は好奇心でその問いを発した。
「……ま、天罰が下るわ」
「天罰・・・?」
「そ、何が起こるか知られていないから、天罰。とても酷いことである事だけは間違いないけど」
あっ、と小さく声を漏らし、彼女は付け加えた。
「言っとくけど、やり方知っても絶対実行しないようにねっ」
彼女の言葉に、俺は首を横にぶんぶん振って言った。
「実行しないですってば、そんな怖いの。そもそもやり方知らないし」
「うん、まぁ、それもそうなんだけどね。ま、万が一知る機会があってもやっちゃ駄目、ってことでw」
そう言って、クリシアは意地悪く笑った。
それから半年程、俺はクリシアと一緒に生活した。
彼女は非公式ギルド――とは言っても当時はまだギルド本部など設立されていなかったのだけれど――のマスターをやっていたみたいだけれど、決して自分から俺をギルドに招待する事は無かった。
それでも何度か俺の意志で、ギルドの集会に付いて行った事があった。そこは俺から見る限り、普通に集まって雑談するだけの、至って普通のギルドだった記憶がある。
ただ、今から思えば些か不思議な点があって。ギルドメンバー達は皆お互い仮名で呼んでいた。本名は把握しているはずなのに。
そして、心なしかメンバーの入れ替わりが激しい気がした。最も、その比較対象は人から聞いた体験談やそれに準するものであり、加えて入れ替わりの激しいギルドなど少数派とは言えそれなりにあると聞いていた。だから俺はその事に関しては、気にしすぎだろうと言う結論を自分の中で出していた。
入れ替わりが激しいとは言え、ギルドメンバーの皆は俺に随分と優しくしてくれた。けれど時々俺の頭を撫でながら、ギルドメンバー同士何か話しているのが気がかりだった。内容を聞いても教えてくれなくて、それが少し癪だったけれど、そんな些細な疑問など消し飛ぶ位に毎日が楽しかった。
一人、とびきり仲の良くなったハーミットがいた。知り合った当時は俺と同じ位のレベルで、けれど俺より生まれて一年以上も立っている。そんな奴だった。
彼は<転生>を何度か経験した人間だった。転生とは今までの身体を捨て、記憶だけを残し、新しい人生を始める手段――。
彼もまた、スティラという仮名を名乗った。
スティラとエリニアで待ち合わせして、遊びに行く。いつの間にかそれが日々のサイクルの中に組み込まれていた。
このまま、幸せが永遠に続けばいいと思った。いや、続くという確信に近いものさえ持っていた。
終わりは、あまりにも唐突に訪れた。
「明日、昼の十二時の船でエルナスに行くわよ。荷物は最小限、本当にこれだけは無くしたくないってものだけね」
いつものようにスティラと遊び、帰ってきた俺にクリシアはそう言い放った。
明日も、スティラと約束をしている。
「えっ、でも明日も――」
「スティラにもそう伝えてあるわ。問題ないでしょう?」
不満はあるが、だが彼女のオーラがあまりにも真剣で、俺には頷くことしか出来なかった。
「あ、そうそう。回復薬だけはたくさん持って行きなさい」
「は、はいっ」
そう返事を返し、俺は急いで二階の自分の部屋へと入った。何だか嫌な予感がして、怖くて、俺は逃げるように明日の用意をした。
あの頃……クリシアと出会った頃と比べると、俺は随分と成長した。装備こそは二、三個程度しか当時とは変わらないが、レベルは58になっていた。少しでもクリシアに近づきたくて頑張った成果だった。
内ポケットの空き瓶を捨て、枕元に明日の分の薬を用意する。大切な物と言われても、そう簡単には思いつきはしない。
不安を跳ね返すように大きな伸びをして、俺は再び部屋から出た。
テーブルには既に夕食が準備されていた。
ただ、気になったのは、既にソファに座っている見慣れた人物。
「スティラっ!」
ラーメンをずるずると音を立てながら食べるのは、見間違えることなど無い彼だった。
「遅いぞっ、×××w」
「いやいや、何でお前が家で飯を・・・」
「あー、私が招待したのよ」
キッチンから口を挟むクリシア。先ほどの雰囲気など微塵も感じられない。
「いや、ならいいんだけどさ・・・」
そう言って、俺はスティラの隣へと腰を下ろした。
以前から時々スティラがこの家に来ることは度々あった。けれど、今日だけは若干の違和感があった。まるで、クリシアにエルナス行きを言い渡された時のように。
結局夕食を食べて、三人でずーっと話をして。顔も心も笑ってはいたけれど、どうしても心の片隅に巣くった違和感を拭うことは、出来なかった。
寝たのは、午前一時。
カーテンを閉めて光を遮断し、壁に身を委ねて眠っているスティラを一瞥し、俺は目を閉じ眠りについた。
夢を見た。真っ暗な空間、無音の世界。誰かを待ち続ける俺に背後から黒い何かが近づいてきて――。
「・・・っ!」
思わず、上体を起こした。酷く生々しいその夢の光景が、まだ脳裏から離れない。
俺は呟くように言った。
「夢、か・・・」
ぼんやりと時計を見る。時刻はまだ午前四時。恐怖からの突破口を求めるように、息を切らしながら部屋を見回した。
だが、部屋にスティラの姿は無かった。
「スティラ・・・?」
返ってくるのは静寂のみ。夢と現実が、俺の脳内で重なる。
――怖い。
光を、人を求めるようにベッドから抜け、無意識に足音を立てないようにゆっくりと扉に近づく。
「――だから俺は反対です。そんな無理に…」
扉に伸ばしかけた手が止まった。
ドア越しに聞こえた微かな声は、紛れもなくスティラのものだった。こんな時間に、一体何を……。
「仕方ないでしょう。何も知らないまま放り出すよりはマシよ、×××の気持ちを考えれば」
クリシアの声が続く。声が、震えていた。
「けれど、本当に全く何も知らないんでしょう?×××は」
「ええ……多分ね……」
「…そもそも何で半年前に×××を――」
「駄目だって言うのっ?普通の冒険者としての私を捨てて、人生を捧げた私が、夢、を持っちゃいけないのっ?」
「落ち着いて下さいっ、起きちゃいますよ;」
大声の後の、一瞬の静寂の後。
「ごめんなさい」
「…すみません、僕も無神経な事を」
「スティラは悪くないわ。……そうね、こう言うことに首を突っ込んだ時点で、そんな願いを持つ事自体罪よね、やっぱり」
「クリシア…」
「私の立場上、×××を巻き込むわけにはいかなかった。私の周りには、それを自ら望む者だけを置いておくべきだった」
スティラは言葉を発しない。一瞬の沈黙の後、クリシアは続けた。
「私があの時世話を焼かなくても×××は問題なく生きていけた、ううん、むしろ焼かなければまともに生きていけたでしょうね」
「それは…確かに…否定は出来ないですけど、けど――」
「それに……私があの時ちゃんと覚悟しておけば……こんな事には……」
クリシアの声は暗い。こんな彼女の声を聞いたのは、初めてだった。
「それはクリシアのせいじゃないでしょう?それに、皆それは覚悟の上だった。違いますか?」
「そう……割り切れるものじゃないわ……」
既に眠気など全て吹き飛んでいた。起きてはいたのだけれど、二人の会話の内容はさっぱり理解出来なかった。ただ、何かとんでもない事が起きていた事だけは確かだった。
「今回は相手があまりにも悪かっただけです。GM(管理者)じゃないと手に負えないレベルでしょう、あれは」
「それでも全滅には変わり無いわ。私がもっとちゃんと指揮していれば……」
相手?全滅?どういうことなのだかさっぱり理解できない。
「…あまり自分を責めないで下さい」
黙り込んだクリシアに、諭すようにスティラが言った。
「それに……だからこそ、まだ存在の割れていない×××には生きてもらう。そうでしょう?」
「……ええ」
「死んだ皆や、あなたの為にも――」
俺の中の何かが、吹っ切れた。
「死んだってどういうことだよっ?」
扉を殴るように開き、俺はそう叫んだ。
「×××っ」
俺の名を呼んだのは、スティラだった。クリシアは目を見開いたまま、微動だにしない。
空気がとても痛かった。俺は思わず俯き、唇を噛み締め、家を飛び出した。
「待てっ、×××!……追いかけましょう、クリシア!」
「……え、ええっ!」
二人が追いかけてくるのが解ったけれど、俺は止まらなかった。
……思えば、俺は疑問をうやむやにすべきではなかったのだ。俺達と同じ人種――冒険者であるはずのクリシアが、本来持てるはずのない自分の家を持っているという事に対する違和感を。
人の入れ替わりの激しいギルド、仮名で呼び合うメンバー達。エリニアの最高権威であるハインズ様との密接とも言える繋がり。おかしいと思わない方がおかしい。けれど、俺はずっと無意識に、全てを心の奥へと押し込んで生活していたのだ。
テレポを使うことも忘れて、俺は走り続けた。
空模様は昼間と変わらずの晴天で、でも木々の間から降り注ぐ日光はごく僅かで。
邪気の森からルーパンの森に抜ける寸前、俺は信じられない物を目にした。
メロディたちが、不自然に一点に固まっていたのだ。まるで、透明で窮屈な檻にでも閉じこめられているように。
メロディ達の視線は森を抜けようとした俺に注がれていた。
「・・・チート跡っ」
俺はとっさにサンダーボルトを打とうと、右手を突き出した。けれど、その手にクロミは握られていない。クロミはおそらく、枕元に置いたまま――。
「あぁ・・・っ」
メロディ達が俺めがけて飛びかかってくる。もう駄目だ、と思い目を閉じた刹那。聞き慣れた二つの声が、背後から聞こえた。
「スロー!」
「ヘイスト!」
メロディ達の身体の動きが遅くなると同時に、俺の身体が軽くなった。
その二人の姿を認め、俺は呟くように言った。
「クリシア・・・スティラ・・・」
「とにかく家まで逃げるわよっ!」
いつかと同じように、クリシアは俺の手を引いて走り出した。
「クリシア…これは…」
「……ばれてるわね、私たちの居場所」
いつになく深刻に、二人はそんなやりとりを交わしていた。俺はただ、無言で走る事しか出来なかった。
無言でソファに座る俺に、向かい側に座るクリシアが声をかけてきた。
「聞き耳立てていた事、怒ってる訳じゃないのよ?むしろ、私たちが謝らなきゃいけないぐらいだし……」
「どうして・・・どうしてずっと黙ってたんだ?」
俺だって、怒っている訳では無かった。ただ、放心状態に近い状態だった。
俺の問いに黙り込むクリシア。そんな彼女に、その隣に座ったスティラが助け船を出した。
「僕から説明するよ」
彼はちらっとクリシアの方を見て。
「一体どこから聞いていたんだ?」
「・・・」
黙り込む俺を見て、スティラはため息を一つついた。
「まぁ…仕方ないか。…とりあえず、僕達のギルドの本当の目的から話した方がいいかな…」
俺は無言で頷いた。
「僕達の本当の目的はチーター(禁術者)を少しでも減らす事。神やGMには認められていないけれど、その代わりにハインズ様がバックについて下さってる」
「……天罰とは、墓ではない本物の<死>。この世界から存在その物を消される事」
クリシアが口を開く。まるで、譫言のような口調で。
「ごめんね、この事も門外不出だから黙ってたの」
「僕達がいくつかの派に別れてギルドを形成するように、連中も同じように別れて行動している。クリシアの存在はかなり昔にもう割れていて…」
そして彼は、小さく笑って。
「…彼女が×××と会った日にね、彼女は死のうとしていたんだよ」
「えっ・・・?」
俺は思わず、目を見開く。あの日の事が、俺の脳裏を駆け巡った。
「このギルドの中心が私だというのが割れて、連中が私を陥れようとしてきて……犠牲を減らす為には私が死ぬのが一番だった。……けれど、怖かった。だから……だから私は、君の世話をするという口実を作って、私は私に言い訳をした」
「けど、この間のチーター討伐作戦で僕とクリシア以外全員填められて……死んだ」
思わず、両手で机を叩いた。ドンッ、という場に不似合いな音が、部屋中に響いた。
「どういうことだよ、チーターを討伐しようとして死ぬなんて!」
息を荒げて言う俺に、諭すようにクリシアは言った。
「……天罰の対象は、必ずしもチートを使った者とイコールで繋がる訳じゃ無いってことよ」
「・・・え?」
「例えば、チートによって召喚された敵から経験値やアイテムを得たりするだけで、それは天罰の対象になる。神に認められていない以上僕達も例外じゃないんだよ」
「チート跡を掃除するだけじゃ天罰は下らない、普通はね。……ただ、そのチートを見張ってしまえば、後は簡単」
「それって、本当に神のする事なのかよっ!」
クリシアは儚げに笑った。
「そうね……だから、自衛しなきゃいけない。首を突っ込むべきじゃない」
けれど、と言って彼女は続けた。
「私には……理由があった」
「理由・・・?」
思わず、俺は聞き返した。
クリシアは黙り込む。しまった、と俺は思わず俯いた。
「……私の……そうね、親みたいな人かな」
懐かしむ様に、クリシアは語り始めた。
「勿論、一応私も普通の冒険者だったから、親と呼べる存在なんていないのだけど。だけど、あの人は私にとってのそれで――ちょこちょこと彼の後ろを付いていく私に苦笑いを浮かべて、それでも尚、冒険に私を同行させてくれた。けど……それが駄目だった」
俺もスティラも、無言で聞き続ける。
「あの人もまた、チーターを追っていたのよ」
心臓が、バクンと強く打つのが解った。
「ある日、追いつめたチーターの、巻き添えを食らった。そして、逃げ遅れた私を庇うように……。」
俺から見たクリシアと彼女の言う<その人>が、俺の脳内で重なっていた。
クリシアは、自嘲めいた笑みを浮かべた。
「やっぱり駄目ね、私は。もう私みたいな思いをする子を減らしたいって思ったのに……結局、心の何処かで――」
彼女の中でも、やはり<その人>と彼女自身、いや、むしろ俺と昔の彼女自身が重なっているようだった。
「いや・・・」
俺は立ち上がり、口を開いた。
「俺は、スティラやみんな、そしてクリシアに出会った事、後悔なんかしてないよ。むしろ、クリシアにだって俺のことで後悔なんてして欲しくない・・・!」
嘘偽りは一切無かった。だから、俺は力強くそう言った。
俺に続くように、スティラも立ち上がった。
「僕たちのこともそうですよ。だって、僕たちは自らの意志で行動を起こしたんですから」
「二人とも……」
震える声で、彼女はそう言った。
「とにかく…今すぐにでも出発した方がいいんと思う。×××を逃がすため、転生させる為に」
俺もクリシアも、強く頷いた。
最小限の荷物を持って、俺達は家を後にした。
船が来る前に、魔法図書館に挨拶に行った。ハインズ様は「何か相談があればいつでも来なさい」と言って優しく頭を撫でて下さった。
大きな音と共に、空から船がやってくる。乗客は俺達以外一人も居なくて、船は貸し切り状態だった。
船内で窓の外を眺めていた俺に、クリシアはそっと声をかけてきた。
「ねぇ、×××……」
「何?」
右に居るクリシアに顔を向ける。彼女は僕の頬に優しく手を当てて、言った。
癪だったけど、それを表に出す気にはならなかった。
「転生した後の事は任せるわ。私はあの人に倣ったけれど、君がそうする必要は無いもの」
クリシアの手の冷たさも、今は彼女の優しさであるとさえ思えた。
「関わりたくないと思えば、1stでの事なんて忘れてしまえばいい」
「いや・・・」
俺は首を横に振った。クリシアの手が、頬から離れた。
「やっぱり、俺は・・・」
彼女がどっちを望んでいるのかが、俺にははっきりとは解らなかった。
少しの沈黙が続いた。口を開いたのは、クリシアの方であった。
「そっか……まぁ、とりあえずこれは×××に預けておこうかな」
クリシアの手は服のポケットを漁り、一つの小さな手帳を取り出した。なめした動物の皮で出来たそれは、随分と年期の入っている様子だった。
差し出されたそれを無言で俺は受け取り、ポケットへと仕舞った。今ここで開く勇気を、俺は持ち合わせてはいなかった。
「それ、もし気が変わったら焼くなりなんなりしちゃって。内容は門外不出な事だらけだから」
そう言ってクリシアは微笑んだ。どんな顔をしていいものか解らなくて、彼女に倣って小さく笑った。
「オルビスが見えてきたよ」
スティラの言葉を聞いて、俺は窓の外を再び見遣る。遠く向こうにうっすらと見えるのは、オシリア大陸の玄関とも言える街、オルビス。
今回のエルナス行きの目的は、俺が転生する為。つまり、この旅路は、クリシアやスティラと別れる為の、辛い、辛い旅路――。
「寒いぃぃっ!」
「慣れるまで我慢っ!」
船を下りて、オルビスを出る。気が付けば辺りは雪で真っ白になっていた。
オシリア大陸自体には何度か来たことがあったが、オルビスから出たのは今回が初めてだった。
空に近いオルビスは比較的温厚な気候であったが、下界に降りるに連れてどんどん寒さが増してくる。噂には聞いていたが、まさかこれ程まで降雪が激しいとは……。
寒がっているのは俺一人、クリシアとスティラは何事もないように歩いていく。普段とは違う、暖かそうなマントを着けているスティラはまだしも、あれだけ露出度の高い服を着ているクリシアが元気な理由が、慣れというだけで済まされてしまうのが、俺には不可解だった。
幸い、アイゼンと呼ばれる特殊な靴だけはクリシアが用意してくれていて、そのお陰で俺も滑ることだけは無く歩くことが出来ていた。
「しかし…建設中のあの塔って、いつ完成するのやら;」
溜息と共に、スティラがこんな言葉を漏らす。山下りに、彼も相当応えているようであった。
「さぁ……もうちょっとで完成しそうな感じだったけどねー」
クリシアはさらりとそう言った。
再び、沈黙が続く。
あまり触れたくはなかったけれど、仕方なく俺は口を開いた。
「そういえば・・・これからどうするんだ?エルナス行って転生するって言っても一体・・・」
「うーんと、とりあえずエルナスに近くなったら帰還書使って、エルナスに移動。エルナスに長老の官邸っていう建物があるから、そこのロベイラ様に会って。ハインズ様から話は通してもらっているから、後は――」
そう言ってクリシアは立ち止まる。
「どうしました?」
スティラが顔をのぞき込む。クリシアは、無表情で遠くを見つめていた。
「……予定変更、かもね」
「えっ」
クリシアの小さな呟きの詳細を求めるかのように、俺は思わずそう言った。
クリシアは小さな声で続けた。
「罠が……チートが仕掛けられてる……かもしれない」
「なっ・・・!」
「ほら、よく見て。あの丘にモンスターが居ないのは明らかにおかしいでしょう?」
そう言ってクリシアは遠くに向けて指を指した。目を凝らしてその指し示された先を見る。普段どれ程のモンスターが居るのか俺は知らないが、少なくとも、今そこにモンスターの姿は一匹たりとも見あたらなかった。
「本当…ですね。普段ならモンスターがいるはずなのに…」
スティラが言う。やはり、この状況は異常らしい。
「こちらの考え、読まれてたかもね……けど、まだ先に気付けたのは幸い」
クリシアが、苦笑いをして言った。
「悪い予感が当たっていれば、相手は多分……例の三人組でしょうね。もしそうなら、おそらくあの近くにいるでしょう。全員居る可能性も高い」
三人組……ギルドの皆を陥れた、チーター達だろうか……。
「それじゃ、一旦オルビスに戻って…」
スティラが口を挟む。大雪が降っていようが何だろうが、ここはまだオルビスに近い地域なのだ。
「ううん、それは朝の事を考えるとリスクが高すぎる。一般の人を巻き込む可能性だって高い」
だから、と彼女は付け足して。
「強行突破よ。あの丘を抜ければ帰還書でエルナスまで飛べる。何かが襲ってくれば、私が足止めするわ」
彼女の目は、凛と平野を捉えていた。
「でも、それじゃっ・・・!」
あまりにも、リスクが高すぎる。
俺を諭すように、クリシアは言った。
「……今回の相手はね、チートを編み出して方法を売り捌くような事をやっていた、いわば親玉的存在の一つ。私に万が一の事があっても、私の命と十分釣り合う相手」
「それって・・・」
彼女は、自らも天罰の巻き添えになるつもりなのだ。
「×××」
スティラが、俺の肩を掴んだ。
「スティラ・・・っ」
俺はスティラの方へと顔を向ける。彼は無言で首を振った。
唇を噛み締め、俯く。心の中で、やるせなさが渦巻いた。
「・・・解った。でも、巻き添えにならない努力は・・・してくれよ」
やっと、俺は言葉を発した。
「うん。……あ、そうだ」
そう言って彼女は、自らの着けていた金の耳輪を外し、差し出した。
「うまく突破できるように、お守り貸しておこっかw これ、貰い物だけど、結構強力なんだよ」
「え、でも・・・ならクリシアが――」
「馬鹿ねぇ。私を誰だと思ってんのw」
クリシアがまた笑う。この笑みこそ彼女の最強の魔法なんじゃないかと俺は思う。脳裏に浮かんだ疑問を心の奥へと押し込める、悲しいほどに優しくて残酷な魔法――。
「じゃ、行くわよ。丘の向こうの道に入れば、帰還書でエルナスへ飛べる。オッケー?」
俺とスティラは頷いた。俺の耳には、しっかりと金の耳輪が揺れている。
スティラ、俺、クリシアの順で平野へ向けて進み出す。アイゼンを履いているとは言え、やはり慣れない雪道だからか、危うく転倒しかけたりもした。
やがて、丘へと続く一本道へと差し掛かる。平野に近づくにつれ、モンスター達の数は明らかに減っている。
そして、丘へとたどり着く。そこは、あまりにも静かだった。それがあまりに露骨過ぎて、俺は思わず息を呑んだ。
急いで、けれどあくまで慎重に俺達は進み続けた。
白と灰の世界、深々と降り続ける雪、ザクザクという足音。寒いはずなのに、心なしか体が熱を帯びてくる。
丘の端が見えた。あの道にさえ入ってしまえば、後は帰還書で――。
そう思った刹那、背を襲ったのは、震え上がりそうな程の激しい殺気と、モンスター達の唸り声だった。
思わず後ろを振り向きそうになったその時、スティラが叫んだ。
「走れっ」
後ろを向く間も無く、俺は走り始めた。だが、殺気で足がすくんでしまったのか上手く走れない。テレポも、雪のおかげで硬直が長くて使い物にならないのは随分前に確認済みだ。
不意に、後ろから聞こえるはずの足音が聞こえないことに、俺は気付いた。
「クリシアっ?」
彼女からの返事は無い。思わず、俺は振り返った。
俺の目に映ったのは、巨大なモンスターの群れと、それを必死に押さえるクリシアだった。
「早く、行きなさい!」
自らの力をフル動員して、クリシアはスローとシールを打ち続けていた。
「でもっ・・・」
「……後から絶対追いかける!だから先に行って!」
「早くっ!」
スティラが再び叫ぶ。
「絶対、絶対だからな!」
そう叫ぶと俺は振り返って、再び走り出した。
もう少し、もう少しであの道にたどり着く。
「…っ!」
急に、スティラは止まった。俺も、慌てて止まる。
目の前に立ちはだかっていたのは、人形のような男と女だった。
「やっぱり、お前らか…」
スティラの顔が焦りの色に染まる。じゃあ、やはりこのチートは……。
男も女も、何も言わなかった。ただ、どちらの顔にも満面の笑みが張り付いていて……この時の笑み程、怖いと思った笑みは無い。
俺は力強くクロミを握りしめた。
ここを突破しなければ全ては水の泡。逆に言えば、突破さえしてしまえば――。
二人組に向かってサンダーボルトを打とうとしたその時だった。
「目を閉じて!」
クリシアの声だった。反射的に俺は目を閉じた。
体中に感じたのは、感じ慣れた、けれどいつもとは桁違いな雷の衝撃だった。
衝撃が収まったのとほぼ同時に、地が揺れた。揺れ続ける地に続くのは、モンスター達の怒声。
「行くぞっ!」
その声に促されるように、俺は目を開いた。目の前の二人は、眼が眩んでいるのか動きが殆ど無い。
ポケットから帰還書を取り出し、左手に握りしめた。すぐにでも使えるように、と。
俺は必死に走った。だが、ヘイストがかかっているとは言え、俺は魔法使いだ。あの地点まで俺の体力が持つかどうかは、解らない。いや、それ以前に、それまであの二人の視界が眩んだままとは限らない。
あの道までもう少し、とは言えそれはこの丘の広さを考えての話。実際は結構な距離があって、俺の体は徐々に悲鳴を上げ始めた。
悪い予想は重ねて当たる。俺の体力が限界点達したとほぼ同時に、俺の目の前に目にも見えぬ早さで男が立ちふさがった。
――もう駄目だ。
恐怖と絶望に怯えるように、思わず目を閉じた刹那、誰かに抱きかかえられるような形で、俺の体は宙を舞った。
スティラが、俺を抱きかかえてフラッシュジャンプをしたのだ。
だが、スティラもそう力がある訳ではない。加えて彼は最近三次職になったばかり。技もまだそう強力ではない。
案の定、着陸予想地はほんの少しだけ、道に届いてはいなかった。加えて、地上には視界が正常になったらしい二人組が待ちかまえている。このまま落ちれば、彼らの餌食になるだろう。俺達により長く絶望を与える為だろうか、宙を舞っている今は何も仕掛けてこない。
だが、俺達の描く放物線が下りに入ったところで、スティラは俺を投げた。俺の体は予想地点を越え、宙に浮いたまま、オルビスとエルナスの境目を越えた。
握りしめていた灰色の紙切れを開き、念じる。帰還書使用時特有のあの浮遊感と共に、俺の背後から、音のない声のような物が聞こえた気がした。
暖かかった。そして、空気が張りつめていた。
うっすらと、目を開く。目に映し出されたのは、バルログの描かれた立派な絵画。
俺の体には薄い毛布が掛けられていて、それは、とてつもない包容感を抱いていた。
「目が覚めたようですね」
唐突に、女性の声が耳に飛び込んできた。反射的に声のする方へと顔を向ける。
そこに居たのは、フードを深々と被った赤髪の女性だった。かつて見た事が無い程の強い威圧感と魔力を纏い、若干宙に浮いているこの女性こそ、クリシアの言っていたロベイラ様本人に違いないだろう。
「精神力を使い果たして倒れていたのを、冒険者の方がここへと連れてこられました。……×××ですね。ハインズから話は聞いています」
俺が口を開く前に、ロベイラ様が言った。やはり、長老の名は伊達ではない。彼女のオーラ、魔力、そして威厳のある声を聞いて、俺はそう思った。
「はい。・・・あの」
俯いて、俺は続けた。
「二人は・・・クリシアとスティラは――」
「彼らは……」
ロベイラ様も俯く。そして、残酷な言葉を紡いだ。
「……光の柱に巻き込まれるのが、遠隔透視で見えました。おそらくは……」
「そんな・・・」
光の柱、つまり、天罰。それが意味する事は、もう十二分に解っていた。
解っていた。二人がそうする事も解っていた。けれど、やっぱりやりきれない。
――『彼女が×××と会った日にね、彼女は死のうとしていたんだよ』
スティラの言っていた言葉が脳裏に響く。
そっと、耳輪に触れる。この耳輪を返すべき人は、もう居ない。
不思議と、涙は出なかった。
部屋に響くのは、暖炉のごうごうという音だけ。俺も、ロベイラ様も、黙り続ける。
「さて――」
その空気を切り裂くように、ロベイラ様が口を開いた。
「ハインズから経緯は聞いていますが、だからこそ感傷に浸る前に転生しなければなりません。そうでしょう?」
ロベイラ様の言葉に、俺は小さく頷いた。
「では、何か残しておきたい物があれば、私からゴールドマンに預けておきます。今の貴方がここから出るのは危険でしょうから」
「残しておきたい物・・・」
ごく自然に、俺は耳輪を外し、ポケットから手帳を取り出した。そして、震える手でそれらを差し出す。
「・・・この二つを、お願いします」
「解りました」
ロベイラ様は俺に近づいて、優しくそれを受け取って下さった。
「……では、これからあなたの転生を行います。目を閉じて、強く、強く念じなさい。自分は転生するんだ、と」
言われた通り、俺は目を閉じ強く念じた。クリシアの事、スティラの事、ギルドの皆の事……沢山の事が浮かんできたけれど、今は出来るだけ転生する事に集中した。
魔力の波動は転職の時のそれと比べるとかなり異質で、酷い吐き気が襲ってきた。だが、それに抗うように、俺は更に強く念じた。
意識が遠のいてゆく。そして、同時に体が溶けるような、落ちるような感覚に襲われた。
そして、意識が途切れるかと思った刹那、俺の体はどさりと何処かへと落ちた。
うっすらと、目を開く。
穏やかな風、暖かい光。思わず、天国かと錯覚してしまう。
だが、この場所には見覚えがあった。そう、ここはメイプルアイランド。空に浮かぶ、始まりの島。
頭を抱えながらも何とか起きあがり、自らの姿を確認する。白いシャツに青いショートパンツ――その姿は初心者そのものだった。髪型も顔つきも以前とは大差なかったが、体つきは今までよりも若干がっしりとしている気がする。
ショートパンツのポケットから、一枚のカードを取り出した。そこに記されていたレベルは1。転職は成功したようだった。
嗚呼――俺は空を見上げる。この空の下には、もう俺の大切な人達はいない。
出来立てのこの体から、涙が一筋零れた。
転生してからは、戦士として必死にレベルを上げた。
――耳輪を装備出来るようになれば、手帳の中を見よう。
そんな目標を定めて、どれほどの時間が経っただろうか。ついに、レベルが25に到達した。
「アップおめでとーww」
「おめ〜」
「ありがとー。じゃ、お疲れさまですー」
グループクエストの為のグループを抜け、俺は足早にカニングシティの路地を歩いた。鎧も武器も、どちらも重くてちょっと辛い。
転生してからの間、孤独感がずっと付き纏っていた。やはり、自分の中で大きなウェイトを占めていた人がいなくなったというのは、辛い。
「ゴールドマンさん、ちょっといいすか?」
大きな箱を背に立っている倉庫業者ゴールドマンに、俺は声をかけた。
「ん、どうしたアル?」
「預けていた物をお願いしたいんですが。古い手帳と金の耳輪」
ゴールドマンが少し考えるそぶりを見せた後、言った。
「了解、ちょっと待ってて欲しいアル」
そう言って背後の大きな箱を漁るゴールドマン。何処で預けても何処ででも取り出せる、この不思議な箱はどうなっているのか。正直疑問である。
やがて、ゴールドマンは箱を漁り終えて、こちらへと歩いてきた。
「これアルね」
そこに握られていたのは、紛れもなくあの手帳と耳輪であった。
心に、久々にその物を見ることが出来た嬉しさと、手帳に対する緊張の二つが同居していた。
「そう、これこれ。ありがとう」
俺はゴールドマンから手帳と耳輪を受け取り、思わず駆けだした。
そして、裏路地の奥で足を止め、壁に身を委ねる。
先に、耳輪を装備する。魔法使いの為の強化が為された耳輪ではあったけれど、まるでそこにあるのが当然とでも言うように、違和感無く俺の耳に収まった。
震える手で、そのまま手帳をめくり始めた。だが、文字は目に映し出されても、内容は頭には入っては行かなかった。
ほんの少し、クリシアを垣間見れる記述があれば……そう、期待していたからかもしれない。
最後のリフィルを捲り終えて、現れたのは一枚のメモだった。
四つ折りに畳まれたそれを、震える手で開く。そこに綴られていたのは、クリシアから俺へのささやかなメッセージだった。
『×××へ
多分これを読んだ頃には、私はもうこの世界にはいないでしょうね。転生する前に、君が手帳を読むとは思えないから。
君と過ごしたあの日々は、すっごく楽しかった。辛い心を引きずったまま、死なずに済んだのは、君のお陰。
私の事を覚えていてくれる人が居る限り、私は死なない。その人の心の中で生き続けてる。
君は、一人じゃない。不安があれば思い出せばいい。私やスティラ、ギルドのみんなの事を。
人は人と関わることで、過去にも未来にも輪を作ることが出来る。そして、×××が新しい仲間達に出会う事が出来れば、その輪は更に可能性を広げる。
私は、その可能性が更に広がるのを、過去、そして君の心の中から祈っています。
黒い服の氷雷魔より』
あの時以来の涙が、俺の頬を静かに伝った。
そう、そこに生きたという確かな証拠――誰かの記憶の片隅にでも存在していれば、人はそこへと生き続ける。
そっと、耳輪に手を触れた。金色の輪は色あせない繋がりの象徴のように思えた。
――決めた。
一つの<輪>はその狭い世界、狭い時代しか示さないけれど、それが繋がる事で、<鎖>となる事が出来る。
なら、俺はその<鎖>の一部になろう。
狭い世界の<輪>の一部に過ぎなかった俺が<鎖>の一部になる為には、時間がかかるのかもしれない。けれど、時間ならたっぷりある。クリシアとスティラのくれた、プレゼントが。
よし、と俺は壁から離れ、滴で濡れたそれを、手帳と共にポケットにねじ込んだ。
大きく深呼吸をして、来た道を引き返す。
まだ見ぬ、新しい仲間達を思い浮かべて――。
fin
※もし感想等があれば、 web拍手 からでも頂ければ嬉しい限りです。
(閲覧時期によっては拍手イラストが別ジャンルである可能性があります。)
◆蛇足的後書き(読み飛ばし推奨/紅白から飛んできた方向けです)
初めまして、留月という者です。
メイプル関係の創作はもっぱら自サイトに引きこもって行っているため(そもそも量が少なすぎですが)、
こういう場以外でお会いする事はあまり無いかと思いますが、以後宜しくお願い致します。
本当はイラスト部門でも出場予定だったのですが、リアルでの急な出来事の為小説部門のみの参加となりました。
本当はサポートBBS内での「ParaDrawは無茶じゃないか」という声に対抗したかったのですが……無念。
小説部門の方も、本当はこれとは別のラヴい(死語)話を書く予定だったのですが、
ほぼぶっつけ本番で書き始めてしまったところ予想以上に話が大きくなりすぎてしまったので、
仕方なく数ヶ月前に書いた未完成作品を引っぱり出して仕上げて提出、
という事になりました……中途半端ですみません。
しかも内容がチートを扱った内容という……なんか非常に申し訳ないです。
魔はLv50とLv44しか持っていないため、ロベイラの口調は完全想像です。
ハインズ様もどんな風であったか忘れてしまった為殆ど想像です。実際と違っていたらごめんなさい。
次回(文化祭)は参加出来るかどうか、時期的に非常にきわどいですが、もし参加出来れば
今度こそイラスト小説両部門で出場したいと思います。
では、また会える日を楽しみにしております。
ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。
2007年5月某日 留月
2007.5.6up
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